パラレルワールド
異世界系のアニメはたくさんありますが
それらを見ていて一人の友達のことを
思いだしたことがありました
友達の名はS
彼とは特別仲のいい関係ではありませんでしたが
私の学生生活から社会にでるまでの節目に
関わりのあった人物なので
疎遠になった今でもとても記憶にのこっている
友達の一人です
あんこうです。
高校に入学してから1ヶ月が経ち
クラスではそれぞれ気の合う者同士が
グループをなしはじめていた頃
私は完全に出遅れて一人ぼっちでした
このままではいけないと思い
高校では部活動はしないと決めていたのですが
中学の頃からやっていたサッカー部に
見学しにいくことにしました
グラウンドの隅で部活動を見学していると
私に声をかけてきた人がいました
「入るつもりなん?止めた方がいいでこんな部活!
おれもう止めるから!」
入学してまだ1ヶ月
何故入ったという疑問しかありませんでしたが
それが友達のSでした
高校2年になり私はクラブ尽くしの生活で
そのへんのボクサーにも負けない程
身体はムキムキになっていました
今となってはあの頃の身体と比べると
ざわちんと横ちんくらいの違いがあります
Sとは同じクラスになったのですが
その頃から不登校になっていたため学校で
あった記憶は殆どなく
唯一記憶に残っているのが修学旅行でした
私の修学旅行の思い出は
体調を崩して個室に隔離されたことと
以前何かの記事で話しましたが
もう1つ記憶に残っているのがSの話でした
Sはとても話が上手で独特の言い回しが
私の中ではツボでした
そして学校に来ていない分
私達普通の高校生では経験できないことも
経験していたので興味津々でした
夜は笑い声をこらえるのに
必死だったのを覚えています
私が隔離されたのは翌朝のことでした
3年生の秋、私が推薦で大学の内定をもらった頃
出席日数の足りなかったSは
サボらず学校に来て勉強していました
友達からの又聞きでSは
大学を目指しているとのこと
そのとき皆は絶対無理だろうと
馬鹿にしていましたが
Sは一年浪人して大学入試を合格します
私達の通う高校の偏差値だと
現役ではけして行くことのできない
名のある大学でした
大学生になり私がパチンコ屋でアルバイトを
していた頃にお客さんとしてSは現れます
いつも甘デジでもみもみしていたのを覚えています
あるときからSはお客さんから
早番の店員さんになっていました
私の働きっぷりをみてラクそうに思ったのか
理由は覚えてませんがいつの間にかいました
そのときにいた女性のアルバイトの子がすごく
話していのですがSはラクダと寝ていました
後日ラクダは主任の女だったことをSは
ラクダ本人から聞かされいろんな意味で
鳥肌がたったと後日談で聞かされた私は
腹がちぎれるほど笑いました
Sがパチンコ屋でアルバイトしていたのには
ある目的がありました
それは世界一周旅行のツアーに行くためです
そのためにお金を貯めていたのです
なので数ヶ月してSはアルバイトをやめ
世界へ旅立っていきました
旅行から帰ってきてから
Sから世界のいろんな話を聞きました
中でもリオで銃をつきつけられた話は衝撃でした
Sは星に興味があり
天体望遠鏡を持って車を走らせ
星を見に行ったことがあります
相対性理論がどうのこうの真剣に話していましたが
私は興味がなかったので全く覚えてません
ただ、天体望遠鏡で見た星が素敵だったことは
覚えています
ここまで私はSと直接連絡などをとったことがなく
連絡をとっていたのが今でも仲のよい
もう1人の友達Tでした
当時は若かったこともありトゲピーでしたが
今は性格も見た目も丸くなり
その姿はもはや立っているのか寝転んでいるのか
わからなくなる程です
盛りました
そんなある日Tから連絡がありました
「アイツ連絡返してこんねんけど」
Sは自由人なのでそんなこともあるだろうと
そのうち返ってくるだろうと
私は言ったと思います
数日して連絡が返ってきたとTから連絡がありました
そしてその内容が私に転送されてきました
それはSの携帯からSの母から
送られてきたものでした
Sはバイクで交通事故にあい
ICUで今本人は一生懸命戦っている最中で
意識が戻ったとしても車椅子の生活は免れない
という内容でした
すぐにTに連絡しました
二人で生きていて良かったなとそんな話を
したと思います
Tとの電話で加害者が無免許だったことを知り
こんなことは言ってはいけないことなのですが
加害者を◯してやりたいという気持ちでした
その日は眠ることができませんでした
Sの回復を信じてSから連絡がくるのを
私達は待つことにしました
しかし私はどうしても気がかりだったため
手紙を書こうとペンを握りました
何度も書き直しましたが
何を書いてもSを傷つけそうな気がして
結局手紙を書くのを諦めました
数ヶ月が経った頃
Tが「もうそろそろアイツも車椅子になれて
病院から抜け出してパチンコ言ってるやろ」
などと冗談を交えながら私に言ってきました
私も「アイツならありえるよな」などと話し
二人で明るくしていたことを覚えてます
最悪のことは考えないようにしていました
できるだけ前向きに考え
できるだけ最小限にと願っていました
Sの状態を知ったのはそれから
更に数ヶ月のことでした
Sの地元の友達からまわりまわって
それは私の耳に入りました
植物状態らしいと
事故から何ヵ月も経ち
どこかでそういう気がしていたのか
それほど気持ちが乱れることはありませんでした
Tに連絡してTは
「生きてるやんけ!お見舞いいこうぜ」と
言ってました
Tが前向きすぎて電話を切ったあとに
爆泣きしました
結局親族のことなどを考慮し
そういうことはしないことにしました
あれから10数年が経ち
最初の何年かは道端でSと会う夢を
みたりしていましたが
最近は夢で会うことはなくなりました
でもそれはおそらく私がショックを受けていたから
みた夢なんじゃないかと思っているので
あまり気にしてはいません
それにSは生きてますしね
植物状態といっても脳は動いてるのですから
夢は見れていると私は思います
ある程度の痛みになると脳が痛覚を遮断するように
意識が戻っても過酷な現実が
待っているということで
脳が意識を遮断しているんじゃないかと思ってます
もしアニメみたいにパラレルワールドがあるなら
きっとSは夢の中で普通に生活していて
もしかしたら結婚とかしていたり
するかもしれません
イケメンでも何でもないのに
すぐ彼女できてましたし
夢の中で幸せならわざわざこっちに戻ってきて
苦しまなくていい、そう思うようになりました
全くあり得ない話ではないと思います
人間が想像できることは必ず実現できるみたいな
名言聞いたことありますし
というか10年以上経ってますので
とっくに意識戻ってて今までの人生リセットして
新しい道に進んでいる可能性もあります
それが全員ハッピーで一番なんですけどね
ただそうだった場合一発だけ本気で
殴るとは思います
最後に冗談ぽくなりましたが
パラレルワールドの存在は
私はわりと本気で信じています
Sが事故にあって植物状態になったときから
なんとなくそうなんじゃないかと思い
映画やアニメでそれに近いものを
よく見るようになってからは確信に近いものを感じ
手塚治虫が描いた街並みがほぼ現実に
なっているように異世界も存在し
Sはただそっちに行っただけなんだと
私はそう思ってます
では、、